e-論壇「百花斉放」 e-論壇「百花斉放」 公益財団法人 日本国際フォーラム 公益財団法人 日本国際フォーラム
 「百花斉放」へようこそ。投稿へのコメントでないご意見は「新規投稿する」ボタンをクリックして投稿してください。
 なお、投稿記事を他所において引用、転載する場合は、その記事の出所が当e-論壇であることを明記してください。

投稿日で検索  //// 
キーワードで検索   
※キーワードはスペースで区切って複数の言葉を入力できます。
  <<前の20件 | 最新|次の20件>>  [ スレッド一覧 | *タイトル一覧 | 投稿一覧]
「北への石油」の陰に中露の極東戦略   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳) [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-13 05:51 [修正][削除]
>>>この投稿にコメントする
No.3956
 国連の対北制裁決議を分析すればするほど、極東における“準冷戦”構図の厳しさに帰着する。「日米韓対中露」対峙の構図だ。その中心に位置する北朝鮮の“ばか大将”ならぬ“核大将”金正恩が両者の力関係を見据えるかのように核とミサイルの実験を繰り返す。そのたびに国連もむなしい決議を繰り返す。2006年10月9日に北朝鮮が初めて核実験を行ったことに対し、安保理が、同月14日に核の不拡散と北朝鮮に関する決議を採択して以来、9回にわたり繰り返された決議がミサイルと核実験を止められない。止められないから技術力はどんどん向上して、早ければ半年後には米大陸に届くICBMが実現する。国連が如何に無力であるかを物語るものにほかならない。もはやオリンピック精神ではないが決議に参加することに意義があるとしか思えない。ぬかに釘なのである。勢いづいた金正恩は今度はICBMに模擬核弾頭を載せた実験などを準備するに違いない。主要国は国連など頼りにせず、独自の制裁を行うしかあるまい。
 
 決議のたびに国際社会は「こんどこそ」と一縷(る)の望みを抱くが、今回の決議の一縷の望みは、ガソリンなど石油製品の55%削減と労働者の雇用の全面禁止とされる。40か国に5万人いる北朝鮮労働者と繊維製品の輸出禁止で北の収入を10億ドル削減できるというが、本当に削減が可能か。中露との国境線は長い。万景峰号のロシア航路も始まった。ガソリンくらいは密輸で容易に手に入る。またシベリア開発に便利な北朝鮮労働者をずる賢いロシアが簡単に手放すだろうか。評論家は石油製品の禁輸でエネルギー系にはじめて踏み込んだ意義を強調するが果たしてそうか。はじめて踏み込んだから次の実験では、石油禁輸が実現するのか。そうではあるまい。逆に言えば中露は石油の禁輸阻止に成功したのであり、予見しうる将来においてこれを守り切るだろう。日本が石油の供給をストップされ、破れかぶれの太平洋戦争に突入したように、中露は北が破れかぶれになるのが極東の「安定」を崩すから嫌なのである。従って、国連における駆け引きにおいて国連大使ヘイリーは中露結託組に紛れもなく敗れたのである。最初は「最強の制裁決議」と胸を張っていたヘイリーだが、「石油」に踏み込め得なかったことは米国連外交の敗北にほかならない。この結果、制裁が北の核・ミサイル開発に打撃となり得るかは極めて疑問だ。各紙が朝刊で北の輸出産業の9割が制裁対象となったと報じているが、問題は実効性があるか疑問であるということなのだ。

 中露にとっては北がミサイルと「貧者の核」を完成させても、これが自国に向けられない限りは、米国に対する緩衝国としての役割が拡大するからありがたいのだ。韓国が朝鮮半島を統一して、国境線まで米軍が来ることが最大の懸念材料なのだ。“核大将”は核とミサイルを持ったと威張るが、その本質は中露の準傀儡(かいらい)政権なのである。中露が見放せば崩壊するのだ。よく中国は北の政権が崩壊すれば難民が国境を越えてなだれ込むというが、果たしてそうか。そんな事態になれば中国陸軍と海軍を終結させれば、容易に阻止可能だ。従って難民押し寄せ論は中国にとっては口実に過ぎない。何のための口実かと言えば、自国の安全保障のための口実なのだ。むしろ中国の本音は、たとえ核とミサイルを持った“核大将”でも、存在し続けてくれることが、極東戦略からみればありがたいことなのだ。たとえ噛みつき犬でも番犬としては役立つのだ。とにかく中国はワルだ。陰の北支援が止まらない。そもそも核兵器を格段と進歩させている最大の理由は科学者の中国留学にある。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、海外留学した北朝鮮の科学者が持ち帰る専門知識が、核とミサイル技術を格段と発展させた理由であると報じている。留学先の筆頭は中国であり、明らかに北に核ミサイルのノウハウを教えること禁じた2016年の国連制裁措置に違反しているケースがあるという。同紙はここ数年で北朝鮮から数百人の科学者が留学、その多くは国連が北朝鮮の兵器開発に役立つ可能性があると指摘した学問分野だった。同紙は「いまや自国の科学者が核開発を担うとなれば、その野望を封じることは一段と困難にならざるを得ない」とお手上げの状態に至っていることを明らかにしている。

 こうした手詰まり状態の中で、生じているのが日韓の核保有論である。韓国の場合は中央日報が「前大統領朴槿恵がオバマに昨年11月に戦術核の再配備を要請していた」ことをすっぱ抜いた。ホワイトハウス関係者は「要請があればトランプ政権が韓国に戦術核を配備する可能性があることを排除しない」 と漏らしているという。日本の場合も元幹事長・石破茂が米軍による核持ち込み推進論である。古くは佐藤栄作がジョンソンに日本の核保有の可能性を述べた。その後佐藤は沖縄返還に関連して「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則に転換しているが、政府見解では答弁書で「核兵器であっても保有することは必ずしも憲法の禁止するところではない」 と明示している。狂った“核大将” が存在する限り、核アレルギーは崩壊し、核保有論が日韓両国で台頭する可能性がある。

No タイトル 投稿者 日時
4161 日中「雪どけ」楽観せず知日派・知中派確保を 犀川 幸雄 2018-05-25 09:59
4160 米朝会談中止の背景を探る 杉浦 正章 2018-05-25 06:36
4159 9条改正と民主主義について考える 船田 元 2018-05-24 10:09
4158 野党の「加計疑獄」狙いは不発に終わる 杉浦 正章 2018-05-23 06:29
4157 日本年金機構は誰のためのもの 赤峰 和彦 2018-05-22 11:41
4156 危うい日中関係改善 四方 立夫 2018-05-18 10:03
4155 米朝会談へ神経戦が最高潮 杉浦 正章 2018-05-17 06:24
4154 朝鮮戦争と日本の立場について 船田 元 2018-05-16 12:07
4153 今世紀最大の政治ショー米朝首脳会談 杉浦 正章 2018-05-15 06:29
4152 シリア危機と軍による危機抑制 袴田 茂樹 2018-05-14 14:50
4151 東アジア秩序再調整の幕開け 鍋嶋 敬三 2018-05-11 12:03
4150 日米欧は中露に対して共同対処行動はできるのか? 河村 洋 2018-05-10 18:48
4149 「反故(ほご)常習国」北朝鮮は軽々に信用出来ない 杉浦 正章 2018-05-10 07:07
4148 歴史的な南北対話について 船田 元 2018-05-09 13:17
4147 「小義」では崩せぬ安倍一強体制 杉浦 正章 2018-05-08 11:46
4146 新たな「トランプ危機」に備えよ 四方 立夫 2018-05-07 14:08
4145 非核化合意とは「金王朝維持の保証」 杉浦 正章 2018-04-28 06:14
4144 中国の脅威に目を向けよ 鍋嶋 敬三 2018-04-27 10:09
4143 深刻化するシリアの現状とその歴史を振り返る 山田 禎介 2018-04-26 16:38
4142 米朝首脳会談に画期的成果は期待薄 杉浦 正章 2018-04-26 06:09

  <<前の20件 | 最新|次の20件>>  [ スレッド一覧 | *タイトル一覧 | 投稿一覧]